神山里映子よりメッセージ

神山里映子のパラグアイ旅行記から抜粋

 “パラグアイにはたくさんのすばらしい奏者がいるが、良い先生は多くいない”と聞いたことがあります。どういう先生が良いかは人それぞれだと思いますが、私にとって理想的な先生の条件をいくつか挙げてみます。

 1つ目は、フォームやタッチなど根本的な音の出し方や指練習の方法など、基礎力を上げるためのレッスンをしてくれることです。単発のレッスンの場合、曲だけを教わることになりがちでしかもその場ですぐ出来ないようなテクニックは先生が簡単なアレンジに変えてしまう、ということがあります。それだと、確かにレパートリーは増えるかもしれませんが基礎力は上がらず、生徒の長所・短所を見極めて必要な練習や曲を教えるといったレベルまではいきません。いろいろな奏者から習ってみることはもちろん勉強になると思いますが、長期で教わることができれば、先生もプロセスを大切にしたレッスンがしやすいのではないかと思います。

 2つ目は音楽の知識を持っていることです。楽理はもちろんのこと、パラグアイ音楽に関してもオリジナルやいろいろなアレンジを知っている先生の教え方には説得力があります。

 3つ目は熱意があることです。先生の「上達させたい」という思いは、言葉にしなくても十分伝わります。逆に「簡単な曲を教えて済ませよう」という場合もはっきりと分かります。先生は意識していなくても、教わる側はその違いを感じるものです。

 私はこれまで7人のパラグアイ奏者から習いましたが、特に先生として信頼しているのはマルティン・ロペス先生とセサル・カタルド先生です。カタルド先生は基礎練習の大切さを常に説き「日本に帰ったら先生になって、これらの基礎練習を伝えてほしい」と言って、カタルド先生が生徒役、私が先生役になってレッスンするという練習もしました。ロペス先生は、「日本の生徒はフォームがよくない人が多いから、正しいフォームを伝えてほしい」といって、最初にどういう練習をするべきか、フォームが間違っている場合の矯正方法なども教わりました。二人とも日本のアルパ練習生全体のレベルアップを心から望んでいるのが強く伝わってきました。そんな二人の気持ちに答え、パラグアイで勉強したことを伝えていけるよう努力を続けます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オーラ!アミーゴス NO.57掲載

 このパラグアイ旅行記は2度目の留学を終えて書いたものです。
私が目指す先生像が伝われば、と思い載せました。

 3度目の留学では引き続きマルティン・ロペス先生そして念願のニコラス・カバジェーロ先生のレッスンを受けることができました。ニコラス先生は、いろいろな楽器のテクニックをアルパに応用したり、今までだれも挑戦したことのないジャンルやテクニックにいつも挑戦していて近くで演奏を聴いているだけでたくさん刺激を受け、学ぶことができます。教え方もとても丁寧でわかるまで繰り返し教えてくれました。



神山里映子と師匠のマルティン・ロペス先生


 マルティン・ロペス先生がある日、部屋に置いてあった蚊とり線香を見て「自分がこのスパイラルのように長い時間をかけて得たアルパの技術を、最短距離で君に教えたい」と言ってくれました。

 私のうずまきはまだまだ小さいですが、そんな風に教えられる先生になりたいと思っています。